幸せがずっと続く12の行動習慣  Sonja Lyubomirsky 2012

Part1 幸せがずっと続く為にすべきことか

1.自分で変えられる40%に集中しよう
幸福を決定する要因は、遺伝による部分が50%、意図的な行動が40%、環境が10%である。環境とは、裕福度、健康、人の顔を含めた外観、結婚有無、などの生活環境を意味する。これまで、多くの人は環境部分に多大なエネルギーを費やしてきたが、幸福にるには効率的ではない。遠回りと言える。
2.幸福度の測り方
幸福度スケールというツールで幸福度を定量化できる。その中には4つの質問があり、
1つ目は、「全体として私は幸せか?不幸せか?」
2つ目は、「たいていの同僚と比べ自分は幸せか?不幸せか?」
3つ目は、「全体として幸せだと感じる人は、人生を楽しみ、どんな事も最大限に楽しんでいるが、自分はどの程度あてはまるか?」
4つ目は、「全体としてあまり幸せではないと感じる人は、落ち込んでいるわけではないが、願っている程には幸せを感じない。これに対してどの程度、あてはまるか?」の4つである。
 この質問をする事で幸福度を定量化できる
幸福には、3つの誤った神話がある。
神話 1 幸福はどこかに存在していて見つける物である
神話 3 幸福は環境を改善する事で得られる
神話 3 幸福とは生まれつきの物である

 これらの神話は根拠が乏しく正しくない。生活環境が幸福に与える影響は小さい。生活環境の1つに家電製品、自動車、家、又は、顔の美しさがある。これらも人が感じる幸福度への影響は大きくはない。これらが、幸福度への大きな影響を持たない理由は、快楽順応と言う人間の特質による。手に入った物は直ぐに慣れてしまい幸福度を上げ続ける事はできないのである。
 次に遺伝による影響を説明している。二卵性の双子には幸福度に相関関係がなかった。一卵性双生児は幸福度への影響が大きいと記載されている。アメリカのミネソタ大学での研究であるヘレンとオードリーの例、これは同じ環境で育った一卵性双生児であるが、2人共にジェームスという一卵性双生児で、異なる環境で育った2人の場合はタバコ、女性との関係、生まれた子供の名前、犬の名前等、そっくりであった。遺伝が大きく幸福度に影響を与えてえると考える事ができる。これはの事実から幸福度への遺伝の影響は、50%としている。環境影響は10%まであるので、残り40%が自分で変えられる幸福度であり、ドイツでの調査を事例に説明している。調査時期に、結婚した2人の男性であるマーカスとローランドの事例を紹介している。ローランドの結婚が2年で幸福度が減少したのに対して、マーカスの結婚の幸福度は低下しなかった。マーカスが「愛してるよ」、花を送る等の努力を継続していたからである。これらの継続的努力が幸福度を高く維持するのである。どの様に自分にあったプログラムを組むのかが大切で、「幸福行動診断テスト」を載せている。このテストに従って自分の特質、何に不幸を感じるのか?何に強みを持つのか?を定量化、見える化するのである。そして自分に最もあった方法を自分のライフスタイルを通して探すのである。この方式で幸福度を改善する為の最も自分に適した行動を選ぶのである。29の設問の中で上位4項目にフォーカスして自分にあつた幸福度向上を計画していく。

Part2 幸福度を高める12の行動習慣

1. 感謝の気持ちを表す
感謝とは物事を大切に味わい、それを当たり前とは思わず現在に価値をおく物である。感謝をよく示す人程、落ち込んだり不安になったり孤独を感じたり嫉妬したりノイローゼになりにくい。適切な頻度で感謝を行う事は幸福が継続する。感謝すると幸福度が高まる理由は8つある。
 1番目は、一層ポジティブになれる
そして、「いま」という瞬間から最大限の満足感と楽しみを引き出せる。
 第2には、感謝を表すと自尊心や自身が高まる。感謝の気持ちを持つと、挫折を経験しても、悲しいと思うのではなく、どうすれば今よりも良い状況にする事ができるかを考えられる様になる。
 第3には感謝は逆境に陥った際、感謝の多い人はその逆境において、何かの前向きな理由を見出しポジティブになる事ができる。
 第4には、感謝の多い人は道徳的になる。これにより人に優しくなり他人を助ける傾向が強くなり物に依存する傾向が減少する。
 第5に感謝は社会的絆を作る助けになり、人間関係を強固にする。
 第6に感謝は、他人と比較して不公平と感じなかなる事である。
 第7に感謝すると、ネガティヴな感情を低減出来る事である
 第8は、快楽順応を防ぐ事ができる。感謝によっていい事を当たり前に思わない事から喜びを長く維持できる。
感謝を表す4つの方法
1️⃣感謝日記を付ける  週に一度の頻度で感謝を日記に付ける
2️⃣様々な感謝の表し方がある
 日記に書くでけでなく時間を決め毎日人生の豊かさについて思いを巡らせる等の工夫を持つ
3️⃣絶えず新鮮な方法を試る マンネリを防ぐ為にも感謝の方法に絶えず新鮮さを入れる。
4️⃣直接感謝する 感謝の手紙、感謝の訪問等の工夫を心掛ける。
2. 楽観的になる
楽観主義とは単に「私はそれを手に入れる事ができる」だけでなく、「どうやって達成出来るか?」というプロセスについても考える事を意味する。また、「最高の自分像」を書くのである。これにより、自分の中に価値がある事を確信し、その努力を続ける事により幸福度を高く維持できるのである。書く事の持つ意味は言語による構造化であり、これにより自分がなりたい姿との差分、言い換えると、自分の夢を阻む障害要因を意識できる様になる。「最高の自分像」とは、「仕事で大きな成功を目指す」という様な内容ではなく、「家族•友人に恵まれ仕事も充実した安定感のある生き方をする」と言う様な、ゆったりとした幸福度の高い目標をイメージしている。このイメージの中では、前向きな姿勢が継続される為、目標が徐々に高くなる傾向がある。諦めない姿勢がこの結果を導いていくのである。もう一つの楽観的てあるメリットは、活力に溢れ能動的になれ、且つ、高い道徳的にもなる事である。具体的な活力としては、
1️⃣「最高の自分像」の日記を付ける。
2️⃣目標を小刻みにして成果を確認し易くする。
3️⃣楽観的になる為の障害となっている「バリア」を発見する。
4️⃣「バリア」を乗り越える案を立案する。

また、この楽観的な考え方を習慣化するには、目標を持ち実践する事である。訓練すればする程、自然に身に付ける事ができる。楽観的になると言う事は、ネガティヴな物を否定的に見る事ではなく、好ましくない情報を避ける訳ではない。リスクや脅威をよくリサーチして、楽観と悲観のバランスを上手くとっているのである。
3. 考え過ぎない。他人と比較しない。
人と比較すると幸せにはなれない。幸福度が高い人は、人と比較する事をしていない。他人を上にも下にもみない事で自分自身でいられている。一方、幸福度が低い人は他人と比較し、他人の成功を喜ぶ事なく嫉妬するか、意気消沈する。また、他人が失敗や破滅した場合、同情せずに安堵する。この様な精神状態は人を幸せにはしない。また、何度も何度も繰り返しネガティヴな事を頭の中で思う事は予想以上にストレスになる。「反芻思考」となり人間の精神を蝕む。これらを対策する方策として、第1は他人との比較を自分がする様だったら違う他事を考えるである。次は、「stop」と自分自身に言う事である。3番目は、ネガティヴな事を考えそうになったら、「この30分は、こんな事を考えずポジティブに考えよう。ネガティヴな事はあとで考える事にしよう」と自分に言い聞かせる。最後は、信頼出来る人に相談する事である。但し、人を選ぶ事。そして、これらのアクションを実施する事である。何をするかを決めて実行する計画を作るのである。もし、それでもイメージできない場合は、あの人ならどんな方法を選ぶだろうと想像するのである。とにかく行動が大切である。考え過ぎてしまう事と他人との比較をする事は異なる場合もあり両方とも幸福度を下げる因子である。考え過ぎる場合は、状況を想定して、考え過ぎる思考に陥り易い場面をあらかじめ書き出しておいて考え過ぎない様に自己をコントロールする様にする。また、大きな視野で物事を捉え、1年後この悩みは続いているだろうかと自問自答してみよう。多くの場面、当てはまらないと分かるだろう。
4.親切にする
 人に親切にすると幸福度が向上する。理由は自己肯定感の向上である。自分は思いやりのある価値のある人間であると強く思えるからである。また、人を助ける事で「誰かと繋がりたい」「感謝されたい」「価値ある友情を得たい」という基本的な欲求が満足される為である。ボランティア活動という自分を惜しみなく与える行為のおかげで、幸福度が上がる事がはっきりしている。これらの親切な行為は、タイミングよくマンネリにらならない様に注意する事でより効果的にする事ができる。また、親切は連鎖し好循環が繋がる性質がある。但し、自己犠牲が大きいと続かなくなる注意が必要である。
5.人間関係を育てる
 幸せな人は例外なく家族、友人との仲が良く親密な人間関係を育んでいる。人間は「所属意識」があり、どこかの組織に所属していたいと言う意識が存在する。これは人間の進化と共に発展してきた。周りとの良好な人間関係により得られる物に、精神的支援がある。苦悩している時、トラウマに悩まされている時、周りの人からの心ある支えは大変勇気を貰える。世界中で長寿で有名なのは、イタリアのサルデーニァ、沖縄、アメリカのセブンスデー教団であるが、共通点は「家族第一」「社会活動への参加継続」である。家族を愛する事は幸せにとって必要な事である。家族の原点は夫婦であるが、よい夫婦を作るには、「会話」が大切である。一緒にいる時間を作り会話する事が良い夫婦の基本である。結婚の研究から、2つの結論が提示された。1つは、幸福な夫婦では、ポジティブとネガティヴが感情的に5:1であると言う事である。相手に対してネガティヴな事を1つ言ったら、5つのポジティブな事を述べる。これが良い夫婦関係である。2つ目の結論は、賛称である。人は自分が昇格したとか、表彰されたとか、とても嬉しい時、共に喜んでくれる際に大きな共感と深い親密さを感じる。また、将来の夢や目標を分かち合う事は深い絆を築いてくれる。夫婦関係の次に大切な人間関係は友人である。友人の数は3人に選んで時間をかけて育むと良い。その際、自分を曝け出し親しみを増やし、愛情や賞賛を伝える時が大切である。また、友人が陰口を叩かれている時に味方になる、秘密を守る、友人の悪口をいわない、厚意に報いる等の大切なルールを遵守する事を忘れてはいけない。
6.ストレスや悩みへの対抗策を練る
 ストレスや悩みへの様々な対処方法として、問題焦点型と情動焦点型の2つがある。問題焦点型は自分がストレス下にあっても論理的な思考が出来る状態であり一つ一つ丁寧に問題解決していく対応方法である。一方、ストレスやトラウマの為に、ネガティヴな感情に打ちのめされている状態を情動焦点型と言う。短期的な対応としては、ハイキングの様な身体を動かす事、友人との会話等の楽しい活動が挙げられる。しかし、より問題が深い場合は、ストレスの原因となっている事柄自体に意味を見出す事である大きなトラウマを乗り越えた人に共通な点として、この問題を自分が捉えるこのにより家族の大切さを再確認したor健康である事の大切さの再確認等を得る場合である。この様なケースでは幸福度に良好な結果をもたらしている。一方、この原因を他人のせいにした場合は、逆に幸福度は低下している。価値ある意味を見出した人は、人生に新たな視点を発見した事であり成長の起点となっているこれを実現する方法として、「書く事」が有効であると説明している。文章化する事で、自分に何が起ったのか?自分は何を受け入れるべきか?を認識出来る様になれる。文章力する事で、それまでボンヤリしていた内容がしっかりとする、このプロセスが重要である。また、「会話」による人から問題解決を導いて貰う方法もある。心許せる人に、何が自己に生じているのか?自分は何をそれから得ようとしているのか?自分はこの経験を通じてどれほど成長したのか?を伝える。例えば、人に優しくなったなどである。この様な活動を通じてストレスから解放されていく。うつ病に対するコーピングも紹介されている。ABCDEの手法である。A:adversity困った状態 例:友人から3週間も電話がない
B:belief.       思い込み  例:私は嫌われている
C:consequence 結果  例:私は孤独だ
D:dispute.  反論    例:多分忙しいのだろう
E:energize 元気付け  例:私の電話を待っているかも?
7.人を許す
 自分に害をもたらした人を許す事は幸福度向上に大きな影響をもたらす。許さない自分を続けると「加害者を避ける」「復讐を願う」というネガティヴな結果を引き起こしてしまう。このネガティヴな感情を抱き続ける事は、自分は何かに囚われている状態である。この状況を脱皮するのに「許す」のである。決して相手の為に許すのではなく、自分の心の平安の為に「許す」のである。「許す」事で、人は前に進む事が出来る。「許し」を与えるトレーニングとして、過去自分が行った過ちに対して「許し」を得ようと努力する事である。次は、許しを与える手紙を書く事である。次は、「許す」事を実践してきた著名人の本を読む事である。ガンジー、マンデラ、キング牧師の本を読んで彼らがどの様に許したか?を知る事である。自分が幸福になろうと思ってら寛大な気持ちでいる事は大きな効果がある。寛大になり相手を許し、相手との会話を通じ共感する事である。くよくよ考えず寛大な気持ちを維持してポジティブにいる時間を長くする事である
8.熱中できる活動を増やす
 何かに没頭している状態をフローと言う。このフローの状態をいかに増やすかが人生の幸福度に大きく影響する。フロー状態を増やすには、自分は何に関心を持っているかを常にモニタリングする事である。自分にあった賢い働き方を見つける事は大切で、仕事には労働、キャリア、天職の3段階がある。仕事を天職にしてフロー状態を仕事にする事が幸福度向上の鍵である
9.人生の喜びを深くあじわう
 喜びは、現在、過去、未来の要素がある。何かを味わい、そこから喜びを生み出した強化し長続きさせる事が重要である。喜びを味わう為には、ありふれた経験にも注意を与えじっくり噛み締める事が大切である。家族や友人と過去の思い出に老ける事も大切である。思い出しやすくする為にアルバム等を準備すると効果的である。マインドフルネスを通じて、今ここに集中して、呼吸に意識する事も重要である。また、残りわずか等のはかない時間感覚も喜びを噛み締める事に大きな役割を持っている。
10.目標達成に全力を尽す
 幸福度は目標を実現する事で達成されるのではない。目標を立て目標達成に向け一生懸命に努力している途中の時が最も幸せなのである。この観点から目標立案は、長期に渡って努力し続けられるテーマとする事が大切である。目標達成に全力を尽すと6つのメリットを獲得する事ができる。1つ目は、人生の目的が見つかる事。第2に自尊心が高まり自分に自信がつく。第3にやり甲斐を持つ事が出来る。第4に時間の使い方が上手くなる。第5により大きな問題を追求出来る様になる。第6は人との繋がりが深まるである。これらの6つのメリットが目標を全力で追求する事で獲得できる。目標は選び方が重要である。最も大切な事は、自分で選ぶ事、その上で自分が何を最も優先するのか?を、よく理解し明確にする事である。目標には2種類あり、ネガティヴな印象を受ける「回避目標」とポジティブな印象を受ける「接近目標」である。何々しない様にすると言う回避目標は成功確率が低い。ポジティブな目標にする事。また、自主性の高い目標と受け身的な目標に分ける事も出来る。自主性の高い目標は、何かの活動を開始する等の内容であり、受け身的目標は何処どこへ引っ越す等の環境変化を主にする目標である。自主性の高い、自ら何かを始めるの様な目標がより幸福度が向上する。目標を設定する事にもノウハウがある。自分の子供、孫に、ひ孫に自分とは何か?をどの様に残したいか?をじっくりと考えリスト化する事である。これにより強い同期付けを行い情熱や使命感を持てる様に自分をコントロールする。次にこの目標を誰かに宣言する。自分以外の誰かに宣言する事で自分の目標は強くなるのである。目標は一度設定しても状況が変化したら柔軟に修正すべきてある。柔軟に変更する事で可能性は拡がっていく。目標に向かって前進するには、ある研究にてチームを作り5つのステップを踏む事で良い成果を見出した。第1ステップは自分の願望をリスト化する事。第2は最優先テーマを複数きめどの程度のエネルギーが各々必要どあるか?をじっくり検討した事。第3は、最優先するテーマを決める事。第4は活動を具体化する事。第5は他のメンバーからの精神的支えを貰いながら努力を継続した事。これらのステップで大きな成果が得られた。
11.内面的な物を大切にする
内面的な物をここでは、宗教とスピリチュアルな物として扱っている。宗教を信じる人は、信じない人よりもトラウマからの回復が早いと言う事が報告されている。この理由は未解明であるが、1つに宗教団体に帰属する事で得られる他人との良好な絆が考えられる。また、トラウマとなる様な望ましくない出来事に対して、意味を見出す事も大きな影響を持っていると考えられる。スピリチュアルな物の定義は「聖なる物を求める事」である。スピリチュアルな生き方とは、人間よりも大きな存在を通じて人生における意味を探す事を意味する。何かを神格化する事で、意義や意味、満足度を得ていると考えられる。
12.身体を大切にする瞑想と運動
 瞑想は精神的にも身体自身にも良い影響を与える。何も考えずリラックス出来る状態を作り呼吸に意識する。何か雑念が生じたら一度瞑想を止め、再度呼吸に集中して瞑想を再開する。心の中に目を向けとらわれている状態から自分を切り離す。全く邪魔が入らない環境を作り20分程度の無の状態を作る仕組みを準備すると良い。瞑想によりうつ病が改善したとの報告もある。運動は瞑想に似た側面を持っている。運動をする事で、頭の雑念を思う力が低下し何も考えなくなっていく。この状態が心身共にポジティブな状態を作るのである。運動をする事で不安感を減らして気分を向上させるホルモンが増加する事がわかってきた。セロトニンが抗うつ剤と同レベルまで分泌されるのである。運動する事で高揚感と身体の健康促進の両面が改善される。また、微笑みや笑いは作り出してでも実施する事は幸福度向上に寄与がある。

PART3 40%の行動習慣が続く5つのコツ

以下の5項目を意識する事で幸福度を長く維持できる。
1.ポジティブな感情をより多く体験する
 大きな事柄を一度実施するより、小さなポジティブな体験を複数回実施した方が効果的である。
2.タイミングをはかり行動に変化を起こす
3.社会的な繋がりを大切にする
4.意欲と献身的な努力をもって人と関わる
5.行動は繰り返す事で習慣になる

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