序章:役に立つ幸福学とは
幸せになるには、何故人間は幸せを感じるのか?そのメカニズムを正確に把握する必要がある。
第1章では、幸せの前提の理解である。定義•測り方•研究動向•影響する事柄•心理学での研究成果と限界を理解する。更に、地位財(金銭欲•物欲•名誉欲)に関してもここで理解を深める。
第2章は、前野さん達が実施した幸福の因子分析である。多変量解析を用い、4つの因子である
①やってみよう因子②ありがとう因子③なんとかなる因子④あなたらしく因子
について説明する。
第3章は、応用編として今後の世の中の動向(少子化•創造•教育)との関連を示していく。
第1章 幸せ研究の基礎を知る
1.幸せの意味
幸せはタイムスパンを考慮して分類する事が重要。
幸福、well-being🟰長期スパン
嬉しい、happy 🟰刹那的感情
日本語の幸せは、「し合わせ」が元々で、何か2つの動作をして合わせる事を意味する。良い面も悪い面も共にあるが、良い意味だけが残って今に至る。
2.幸せの測り方
①主観的幸福と②客観的幸福の2つあり。
①主観的幸福は、アンケート方式で測るが、「幸福度」「生活満足度」「感情的幸福」等々がある。刹那的な感情であるポジティブ感情とネガティヴ感情という視点でアンケートを取る方法もある。
②客観的幸福の研究は、収入•学歴•健康等々を指標に幸福を定量化しようとする事である。
3.幸福の研究動向
人は何を幸せと感じんるかについて、そのメカニズムを知るべきである。
1つの幸福の研究として、客観的幸福の測定として、「人間開発指数」がある。
平均余命•教育指数•GDP指数の3つから算出される。
4.幸せは何と関係するのか
各国のGDPと幸福度の関係をグラフ化している。GDPが低い国では、幸福度はバラツキが大きく、GDPが高い国では、バラツキが小さく比較的幸福度が高い。
幸福と強い関係を持っているのは健康•長寿•信仰等々である。
また、結婚•子供は大きな影響を持っている。
5.知っておくべき幸せの法則
フォーカス•イルージョンとは、もう少し〇〇があれば、幸せなのに•••という風に、その先その先に自分の幸せの焦点を進めていきいつまでも経ってもゴールである幸せに辿り付かない状況を説明した内容である。
もう少し年収があれば
もう少しいい大学を出ていれば
もう少し背が高ければ 等
幸福を考える際に重要な財産は、地位財と非地位財に分けられる。
地位財とは、周囲との比較によって得られる物であり、所得•社会的地位•物的財である。これを得られた時の幸福持続性は低い。
非地位財は、他人との比較とは関係無く得られる物で、健康•自主性•社会への帰属意識•自由•愛情等で、幸福持続性は高い。結婚は特殊で、地位財の側面と非地位財の両面がある。地位財と非地位財はバランスが大切で、(革新的+競争)な地位財と(保守的+協調)な非地位財の両面をバランス良く整える事が大切である。
第2章 幸せの4つの因子
1.幸せの因子分析
ネットを通して1500人のアンケート結果から4つの因子を抽出した。
2.幸せのクラスター分析
1500人のデータをクラスター分析して、4つの幸せの因子と人生満足度•ポジティブ感情•ネガティヴ感情との関係性を定量分析した。その結果、5つのクラスに分類できた。人間は、大きくはこの分布であろうと推定する。
①幸せグループ 20% 4つの因子すべて平均以上
人生満足度•ポジティブ感情 共に平均以上
②やや幸せグループ 17% 自己実現+つながりは平均以上
人生満足度•ポジティブ感情•ネガティヴ感情 平均以上
③平均グループ 45% 4因子全て平均
自己実現+つながりは平均以上
人生満足度•ポジティブ感情•ネガティヴ感情 平均以上
④やや不幸せ 7% 自己実現+繋がりは平均以下
ポジティブ感情 低下、繋がり 低下
⑤不幸せグループ 11% 4因子全て平均以下
自己実現、ポジティブ感情 低
ネガティヴ感情 大
幸せのメカニズムを把握する事で、④⑤のグループの人が、①②のグループにいく事を容易にしてくれるのが、幸せの4つの因子を理解する理由である。
3.「やってみよう」因子
私は有能である。やってみようと言う前抜きな精神状態。有能で自分に自信がある状態である。
日時的な目標と人生の目標の間に一貫性がある人は人生満足度が高い傾向にある。
4.「ありがとう!」因子
対人関係を重視した項目で、他人との関係から喜びを見出していく内容である。
5.「なんとかなる」因子
楽観的な精神状態を言う。物事を深刻に考えるのではなく、なんとかなると楽観的に生きる事を示す。
6.「あなたらしく」因子
他人との比較は、多くの場合、フォーカス•イルージョンとなる。これに対して、自分は自分と割り切り、他人との比較をやめる事。人を気にしないとは、自分の自信のあわられである事がある。
7. 守•破•離
4つの幸せの因子を覚えて、徹底的に型を覚える。覚えたら、最後には、この型を忘れる。この状態になると4つの幸せの因子を腹落ちでいる。
第3章 幸せな人と社会の作り方
1.熟成と幸せ
幸せとの相関関係が、強い項目に、外交性•協調性•誠実性•情緒安定性•知的好奇心がある。また、これらの特性は年齢に比例して向上していく。若い人は地位財を目指す傾向が強く、年齢のいった人は非地位財を求める傾向がある。
2.社会デザインと幸せ
江戸時代後期、人口は横ばい。しかし、文化が栄えた時代である。シュリーマンが江戸時代後期に日本に1ヶ月滞在したが、清潔さ、園芸好きを褒めている。
3.創造と幸せ
絵画、音楽等、鑑賞するより、体験する方が、幸せになりやすい。創造する事は、幸せな状態に人を導く。
4.人材育成と幸せ
教育と幸せの相関は低い。ブレーンストーミングの効果は大であり、目標に向かっての多くのひとが参加する協創(チーム活動)は、幸せの4つの因子に大きく貢献する。自己の問題解決•チームで創造する事での人との繋がり•ポジティブシンキング•独自のイノベーションが要因である。
■付録
幸福に影響する要素
•健康、自己評価(自分は健康だ)と幸福の相関が高い
•幸福な人は長寿である
•離婚した人の幸福度は低いが、死別した人の幸福度は結婚している人と同程度である。
•人との繋がりは、大きな影響を持つが、多様性が強い相関があり、数は余り影響がない。深く繋がっている人の数、質の方がが大きな影響である。
•ボランティアは幸福度大。
•他人の為にお金を使うと幸福度大
•感謝は物欲を、抑え幸福度を増す
•人に親切にした回数を数えると幸福度は上がる
•幸福度は遺伝の影響大
•外交的な人は幸福度大
•幸福度大の人は、良い出来事を思い出し、出来事をポジティブに解釈する傾向にあり
•自己統制感の強い人は低い所得でも不幸を感じない
•自己目的的な人は、何かに集中し没頭しやすい。
•一貫性のある人の幸福度は高い
•そこそこで満足する人は、幸福度大
•最良を求める人(完全主義者)は、選択から外した物を得られなかった事への失望が残りやすい
•収入や資産は「快楽のランニングマシン」に堕ち入りやすい。キリの無い思考になってしまう。
•失業は離婚よりも不幸感が高い
•物を買う際は、全ての情報を入手して判断する人はうつの傾向あり。
ある程度で購入を判断か幸福度大
•テレビ映画を見るより、スポーツや運動に参加した方が幸福度大
•音楽鑑賞等の受け身の活動よりも絵画等の創造活動が幸福度大
•演劇等のグループ活動は幸福度大
•幸福度が最も高い人達の年収は高収入では無い。政治にも積極的ではない
•東洋社会では、自尊心よりも調和の方が、幸福度大
•アジア系の人は、将来の目標達成に繋がる活動に幸福を感じる
•幸福度が高い人は、左脳前頭葉の活動が活発
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