インデックス投資は勝者のゲーム

■インデックス投資は勝者のゲーム    初版2007年 第10班2017年

この本は初版2007年でありボーグル氏が78歳の時の本である。2000年にバンガード社を引退し7年が経過した頃の著書である。序文で全ての言いたい事が記載されており、以下20章から構成されている。序文はP.9からP.28で記載されており本全体をとてもうまくまとめている。言いたい事のほとんど全てがこの序文に記載されていと言ってよい。序文をまとめると以下の通りである。勝者のゲームとは、低コストで分散の効いた株、債券への投資を長期で保有する事である。これは市場全体のポートフォリオを有するファンドを取得し永遠に持ち続ける事である。投資とは企業がもたらす企業成長によるリターン短期的な株価の変動による利益の創出である投機に分けて考えるが必要である。投機は短期的な利益創出が生じる場合があるが、長期的には価値を生んでいない。投資による企業成長による利益こそが市場から得られる収益となる。これらの原則を説明しているのが本書である。

この基本に反する事は選択すべきではない。 反する事とは具体的に以下の通りである。

  •  頻繁な売買による手数料、税金支払い
  •  アドバイスへの報酬
  •  アクティブ投資等の高い運用コスト

また、以下の心構えも大切である。

  •  2017年以降は、2016年までの様な高いリターン今後は得られない
  •  昨日の勝者は明日の勝者ではない  「平均回帰
  •  株と債券のポートフォリオを自分なりに構築する

各章毎の主要なポイントは以下の通りである。基本的に序文で言いたい事が述べられており、以下の各章でグラフ・表等のエビデンスが掲載されている形式である

 第1章寓話

 第2章根拠ある熱狂 P.42  1900年に1ドルを投資した際に、2016年ではいくらになったのか?を提示。P.46  1900年から2016年での全体リターンは9.5%であるが、投資リターンは9.0%、投機リターンは0.5%。まとめ:投資はすべき。価値あるのは投資(企業成長に基づくリターン)である

 第3章企業に賭けろ  P.58 ,59 アメリカの優良企業一覧。インデクスファンドはこれらの企業の時価総額平均荷重で分散投資。P.63  アクティブ投資は多くインデクス投資に勝てない

 第4章どうしてほとんどの投資家は勝者のゲームを敗者のゲームにしていまうのか?P.77  7%市場リターンと2%コストがかかった場合である5%リターンの50年運用時の差は100:40、運用コスト2%は市場リターンを大きく棄損する

 第5章もっとコストの低いファンドに集中せよP.91  アクティブ運用とインデックス運用のリターン比較(1991年から2016年)。0.08%のSP500と2.34%のアクティブ運用の場合、各々のリターンは9.1%と7.4%。

 第6章配当は投資家の最良の友なのか P.100  配当を再投資した場合としない場合での運用結果の比較(1926年から2016年)。再投資しない場合とした場合では、59.1対1.7である。配当は不要

 第7章大いなる幻想 P.111  SP500と大型株ファンドの獲得する利益の比較(1991年から2016年)34500:14400=2.4:1 。投資信託が公表しているリターンを投資家が手にする事はめったにない。運用会社の利益となる。

 第8章税金もコストである。頻繁な売買を行うと、その都度、税金を支払う事になる。

 第9章良き時代はもはや続かない P.132 投資リターンと投機リターンに分解して40年間を考察すると昨今は投機分が膨らんでいる。この43年間の平均リターンは年11.7%と良好であったが、次の時代もこの様になる保証はない

 第10章長期的な勝者を選択する 名言「針を探すな、枯草を買え。」  P.156,P.159 インデックス投資に勝利した2つのファンドである。マゼランファンドとフィデリティコントラファンドの運用経緯をにて提示。マゼランは既に劇的に減少。コントラファンドは現在がピーク。

 第11章「平均回帰P.171、173 5年間毎でのカテゴリー毎のファンドの運用成績をプロット5年間成績のよかったファンドも次の5年間では成績は分散され全体としては平均化される。常に良い成果を上げるカテゴリーは変化する事を、平均回帰という言葉で表現している

 第12章ファンドを選ぶためにアドバイスを求めるか  アドバイザーに支払うコストによって運用成績は激減(P.188 6.6%対2.9%)

 第13章簡潔さと倹約の王から利益を得る P.206 インデックスファンドの手数料比較。インデックス投資にも手数料に差があるので選定時はコストを検討すること

 第14章債券ファンド 117年間で債券が株を上回ったのは42回。株と債券の比率(アロケーション)が重要

 第15章ETF 長期保有する前提であればETFも問題ないが、頻繁な売買を容易にするETFは要注意である

 第16章インデクスファンドが市場に勝つことを保証する

 第17章ベンジャミン・グレアムならインデクス運用をどう考えたか

 第18章アセットアロケーション その1 株と債券。長期投資で重要なのは株と債券の比率の持ち方を、自分にあった割合にする事である

第19章アセットアロケーション その2

第20章時間という試練に耐え得る投資アドバイス アセットアロケーション、いくら投資するかを決定したのちは、「何もするな、じっとしていろ」

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